ウィズコロナにおける人材業界の市場感

この記事の担当者

木村 正宏

【人材業界専門エージェント】株式会社インプレッション
代表取締役 人材業界(派遣・紹介)歴32年

人材業界についての現状

コロナ禍1年が経過しました。業界により経済への影響は様々だと思いますが、人材業界については現状どうなっているのか?

インプレッションに頂いてる人材会社からの求人状況やセミナーご参加者からのアンケートなどから市場感を考察したいと思います。

人材派遣業界

分野により業績への影響が大きく分かれているようです。好調なのは、IT、エンジニア分野への派遣です。介護関連も影響が少ないようです。

コロナ禍になり、多くの派遣会社は10年前のリーマンショックの経験から、派遣契約の終了を覚悟したと思いますが、実際は覚悟したほどの契約終了はなく、派遣スタッフさんに対して休業補償しながら派遣契約は継続したところが多かったようです。雇用調整助成金の支給があったことも大きかったと思います。

一方で飲食、販売などのサービス領域への派遣は厳しい状況です。他領域への派遣に広げていく等の戦略変更されている会社もあります。

コロナ禍の収束時期が不透明な中、次の戦略がポイントになってくると思います。

派遣会社の規模別でみると、大手総合系人材派遣会社は、総じて業績が好調です。特に、ITエンジニア領域への派遣が好調で、今期もITエンジニア派遣を伸ばしていく方針を出されている会社も多いです。伸びている領域に力をシフトできる点が大手さんの強みですね。

その他、トピックスとしては、

 

2020年4月に派遣法改正により施行された同一労働同一賃金により、粗利率が改善されたことも業績に好影響を与えています。

人材紹介業界

人材紹介業界も分野によりコロナ禍の影響度に違いがあるようです。好調なのは、金融、コンサル、テクノロジー関連です。他には求人企業としっかり信頼関係が構築できているハイクラス求人をメインに取り扱っているエージェントさんも、エクスクルーシブな求人が集まりますので業績にあまり影響はないようです。

一方で大手総合人材サービス会社の人材紹介部門は、IR情報によると前年比で概ね20~30%程度業績がダウンしています。大手さんは幅広い業種の求人を取り扱っているので、マーケット全体として求人数が減少していることが原因だと思われます。

不況に強いと言われている医療分野については、コロナ禍で患者数が減るなどマイナスの影響も出ているようです。

BPO関連と新規ビジネス

昨年あたりから、BPO関連の求人が増えてきました。BPO案件の詳細などは秘密保持の観点からもここでは詳しくお伝え出来ませんが、特にオフィスワーク関連職種でBPOが主流になりつつあるような勢いを感じます。

大手総合人材サービス会社さんでもBPO領域が業績を引っ張っているようです。中堅の上場系人材サービス会社さんも、BPO事業に力を入れ始めています

インプレッションへの求人を例に挙げると、

 

BPO案件を管理できる人材、BPO案件を獲得できる提案型営業の経験者を求める求人が急増

新規ビジネス、新規事業へのシフト、拡大という観点で見るとまず、人材紹介会社さんが、人材派遣事業へ参入されるケースが増えています。

以前はありそうであまりなかったケースなのですが、コロナ禍に入ってから相談が増えています。マーケットが飽和状態に近づいていく中で、より顧客サービスに厚みを出していくという戦略です。他にはRPO事業への参入も増えています。RPO事業のバリエーションも増えていますので小希望エージェントさんも参入されてきています。

次に伸びている事業としては、HRテクノロジー関連事業です。大手さんは軒並み進出されており、今期の注力事業とされています。

気がつけば当社もHRテクノロジーサービスをたくさん使っており、なくなると業務が回らなくなってしまいます。今後ますます拡大していく事業なのだろうと思います。

その他トピックス

新規事業への進出という観点から、M&Aを希望される会社も増えてきております。独立系のままでいるよりも大手のグループに入ったほうが事業の成長スピードも速く、コンプライアンス等への対応等質の高いサービスを提供できることになり最終的には顧客と社員満足につながるということで譲渡されるケースも増えてきました。

 

M&Aで大手のグループや資本傘下に入ることが、会社を成長させる近道の一つ

コロナ禍もなかなか収束への道筋が見えてきませんが、1年前と比べると経済は回り始めています。下期あたりから人材業界が回復基調に戻ると予測されている会社もあります。

それに備えて採用に積極的な会社が増えてきています。

以上、あまり長くなると読みづらいと思いますので概要を書かせて頂きました。記事の中で、〇〇分野が好調、○○分野が厳しい等の表現になりましたが、各社さまとも相当な営業努力、業務の見直し、戦略の見直しなどスピーディーにPDCAを回された結果であることは言うまでもありません。

今は、皆さまの情報や印象以上のスピードで人材業界も各社の社風も変化してきています。コロナ禍で会社の業績が急激に悪化し転職したところ、転職先の会社も似たような状況だった、のようなご相談も増えております。

転職の際は、ご自身の価値観をしっかり見つめ直し次の会社に何を求めるのかを今一度整理されることをおススメ致します。

今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の担当者

木村 正宏

【人材業界専門エージェント】株式会社インプレッション
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